ゾイドオリジナル (ZOIDS ORIGINAL)

ストーリー

中編 『闇夜の撃墜戦』登場機体・人物紹介へ

【1】
高高度飛行中のストームソーダー飛行隊が乱層雲に突入すると、電磁嵐の影響を受けてモニターが乱れはじめた。

しばらくして耳元のチューニングダイヤルで波長を合わせながら、パイロットたちの無線による会話が始まった。
「レッドより、グラムへ。そっちの様子はどうだ? まもなく目標地点に着くぞ」 前方、暗雲の割れ目から見える環状群島の上空を飛行するグラムは機体を傾けながら、目視で下界に睨みを利かせる。
「今のところ敵機はいないようだ…後ろの2機も問題はなさそうだ!」
レッドとグラムが岩礁すれすれに低空飛行をかけようとしたその刹那、岩肌からまばゆい光が放たれると同時にシンカーの大群が羽ばたいた。
シンカーは瞬く間に大空を埋め尽くし、黒い帯状になり押し寄せてきた。
「おいでなすったな! 各機、用心しろ。敵はシンカー、擬態機能を持ってやがった!」
「こちらグレイス。了解、援護に入ります。しかし、こんなに帝国残党がいたとは…」

辺り一面がシンカーの大群で覆われ、まるで島全体が闇に落ちたかのような中でドッグファイトが始まった。
スミス機が敵機の背後に回り、正確にレーザー攻撃を仕掛けると、シンカーは雲を割り、炎に包まれながら墜落していった。
しかし、再びシンカーの大群が隊列を組み急旋回、たちまちスミス機を包囲し、波状攻撃を仕掛けてきた。
ストームソーダー飛行隊は攻勢を続け、撃墜を重ねていくものの、息つく暇も持たせぬまま、シンカーたちは次々と彼らの周囲に現れた。
「一体何機いるんだ…これではいくら倒してもキリがない!」
その頃、戦場が映し出された改造実験基地内の制御スクリーンの前で帝国残党軍司令ブッカーの笑い声が高々と鳴り響いた。
「見たか、連邦軍! この試作型オーガノイドマスクを装着した自動制御のシンカーどもの前では、どんな飛行ゾイドも逃げられまい。この鉄壁の防御網は破れはせん!」
戦闘映像を眺めながら、この防衛システムに愉悦するブッカーの傍には、中央大陸戦争時、屈指の撃墜王と謳われた帝国残党軍のエースパイロットであるモットの姿があった。
「さすがはDrデモンの技術だ。捉えた敵を破壊するまで退却せぬよう自動にプログラムされているのか…こいつぁ、俺の出る幕はないようだ」

【2】
シンカーの大群に追尾されるレッドとグラムが主翼に装備されたウイングソードを開け、アフターバーナーを放って急上昇し、ヒットアンドウェイ攻撃を仕掛けた。
「おかしいぞ、グラム! 奴ら、こちらの攻撃に一切ひるまん。何か不気味だ…」
「確かに、あのマスクが怪しいな。まさか遠隔操作か?」
「無人なら容赦なく攻撃出来るってものさ。グレイス、スミス、遅れを取るなよ! さあ、いくぜ、ストームソーダー! 俺の情熱に応えてくれ!」 レッドに呼応するかのようにストームソーダーFSVは鋭い鳴き声を上げた。
そして、急降下を仕掛けてシンカーの大群に迫っていった。
闇の空間に機体から放たれるアフターバーナーの閃光がきらめいた。
グラム機のパルスレーザーガンによる砲撃の雨が降り注ぐ中、レッドはウイングソードを超高速で振動させた。両翼が高熱を発して炎をまとい、疾風迅雷の如くシンカーの大群を翼全体で切り裂きながら突き抜けていった。

この『フレイムスラッシュ』と呼ばれる特殊攻撃法を織り交ぜながら撃墜数を増やしていくレッド。

そこへ慌しく、グレイスからの交信が届いた。
「隊長、干潮まで時間がありません! スミス、私たちも隊長に続くわよ」
「こちらスミス、了解。く、くそ…隊長ばかりにいい格好はさせない!」 グレイスの合図を受け、スミスはアフターバーナーを点火し、頭部のトップソードを大きく開けて突入。シンカーの大群を華麗に撃墜していった。
激しい空中戦が続く中、まもなく干潮の時を迎えようとしていた。

【3】
「こちらミラージュフォックス偵察本隊。道が開いた! これより進撃します!」
干潮を迎え、カイ率いる偵察本隊が、白波が立つ道を基地の入り口らしき洞穴に向かって突入を開始した。
すると岩礁の割れ目から重装甲の殻を纏ったゾイドの大群が現れた。それは特殊なコーティングにより周囲の環境に変色して潜んでいたシーパンツァーの大群であった。
「くそ、やはりこっちもお迎えがあったか。相手はしていられない…ストームソーダー、援護を頼みます。僕はこのまま単機で突入する!」
フルドライブで進軍するカイのミラージュフォックス。
そこへグレイスとスミスが上空から援護に駆けつけ、超低空を維持しながらアフターバーナーと逆噴射を使い、後肢のアイアンクローでシーパンツァーたちを撃破していった。

カイはミラージュフォックスの機動力を充分に活かし、敵の包囲網を突破。
基地内の潜入に成功したカイは、機体の高性能センサーによって基地全体を探知し、強力な電波を発信する制御装置を割り出すと、背部に搭載されたレーザーバルカンを撃ち込んだ。

途端に、上空のシンカー数機の頭部のマスクから異常な電磁波が発生し、それまで寸分狂わず飛行していたシンカーの隊列が乱れ始めた。

【4】
「ええい、何をしている!? ネズミが侵入してしまったではないか!
何としても、この改造実験基地を死守せよ!」 ブッカーの命令が下されると、制御計器にへばりついていた兵士が、システムの制御ボルテージを最大まで引き上げた。
「あの飛行テクニック、あの機体マーク。どこかで見たことあるとは思ったが、やはりレッドか…ここは俺が行く!」
モットは、複雑に入り組んだ通路を足早に進み、奥にある格納ドッグの重い扉を開け、颯爽とカスタムされたレドラーに飛び乗った。
カイはミラージュフォックスに搭載された小型ランチャーによる爆撃マーカーを正確に敵施設に打ち込み、脱出に成功した。

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