ゾイドオリジナル (ZOIDS ORIGINAL)

ストーリー

前編 『出撃、ストーム作戦』登場機体・人物紹介へ

【1】
西方諸島にある環状群島。
この地で連邦軍と帝国残党軍による島伝いの戦いが行われていた。

連邦軍は、前線部隊とミラージュフォックス偵察部隊の見事な連携により、敵本拠地に向かう島々の上陸に成功し、帝国残党軍との散発的な戦闘を続けながらも進撃をしていた。
とある日の夜半、単機で偵察にあたっていた1機のミラージュフォックス量産型が緊急信号を本隊に発信し、消息を絶った。
「こちらカイ、まもなく緊急信号発信地点に到着する!」
ミラージュフォックス偵察本隊を率いる隊長カイは、座礁した1隻の帝国残党軍輸送艇を捜索し、敵本拠地周辺と思われる島に上陸。
暗礁と切り立った断崖に囲まれた自然の要害を進みながら捜索を続けていた。

そこに、金属樹海を先行していた遼機からカイへ通信が入った。
「た、隊長! 遼機が…」

到着したカイの前には、無残にも蜂の巣状に打ち抜かれたミラージュフォックス量産型の残骸が横たわっていた。
「かなりの敵機からの急降下攻撃を受けている…やはり、この辺りに敵本拠地があるに違いない! 至急、参謀本部に報告、我らはこの区域の偵察任務を続行する!」
報告を受けた連邦軍参謀本部は、周辺海域を航行する敵の輸送船の多さからも、この海域に大規模な敵の本拠地があると判断し、破壊作戦を立案した。

目標地点は遠浅で岩礁に囲まれた自然の要害であったため、大部隊での上陸作戦は不可能であった。
慎重に議論された結果、新型飛行ゾイドのストームソーダーFSVで編成された特殊飛行隊による攻撃が採択された。

【2】
クレタス島、連邦軍飛行場滑走路を見下ろす丘陵。 連邦軍ストームソーダー飛行隊の隊長、レッドはドッグタグを握り締め、煙草をくゆらしながら遠い眼で空を見上げていた。
「レッド、また空を見ているのか?」
レッドの同期で、戦友のグラムが新人パイロットの教習を終えてやってきた。
レッドとグラムは、元帝国軍のエースパイロットとして多くの空戦を共にくぐり抜けてきた。
しかし、2人とも現役で前線に立つには厳しい年齢となってきていた。

レッドがグラムへ、ため息まじりに言葉を返した。
「俺はこの空を駆けることに命をかけているんだ。だが、気づいたらもうこんな年だ。いつまで飛べるのかと思うと、少々センチな気分になっちまうのさ…」
その頃、カイ率いるミラージュフォックス偵察本隊3機が、魔獣の唸りのような強風の中心に、怪しくそびえる帝国残党軍の改造実験基地らしきターゲットを発見した。
この情報が連邦軍参謀本部にもたらされると、目標地点の位置が確認され、ストームソーダー飛行隊へ出撃命令が下された。

【3】
滑走路小区画。機体を深紅に染め上げられたストームソーダーFSVが、翼に炎の紋章が描かれた隊長機と遼機、その後方で別編隊を組む2機に別れて駐機していた。

そこにスクランブル警報が鳴り響くと、作業員が大型の補給管を抱えて機体から離れ、誘導員たちは指令ポジションに急ぎ足で向かった。

慌ただしく出撃準備が整えられる中、隊長であるレッドは、モニター越しに隊員たちへ作戦指令を声高に意気揚々と告げた。
「今回の作戦名は『ストーム』、ターゲットは環状群島にあると思われる敵の改造実験基地。夜半の干潮時、ミラージュフォックス偵察本隊が進撃し、目標に爆撃マーカーを打ち込む。それまでに上空の制空権を完全に掌握し、マーカーめがけてフレイムスラッシュを仕掛ける。グラムは俺の僚機、グレイスとスミスは2機編隊で我々の援護に徹せよ!ミラージュフォックス部隊は輸送艇から大量の装甲マスクも発見しているため、敵の新鋭機での迎撃もあり得る。ストームソーダー飛行部隊の名に恥じないように、皆でぶちかましてやろうぜ!」
毎度のことながらの熱い口調に微笑みながら、グラムはモニター越しにレッドへ語りかけた。
「俺がお前の僚機だと? お前が俺の僚機だ、今回も派手にやってやるか!」

【4】
紅一点のグレイスは、無表情を崩さずに長いブロンドの髪をかきあげ、計器の始業点検を行いながら、遼機のスミスに声を掛けた。
「スミス、今回の作戦は自然の要害の中にある敵基地をフレイムスラッシュで破壊しなければならない。しっかり動作チェックをしておくのよ」
スミスは若くして新設連邦飛行隊のエリートパイロットである。
前方で翼を瞬時に器用に動かしウイングソードの点検を始めたレッドを遠目に見つつ、動作確認を要求する誘導員に応え、冷めた表情でつぶやいた。
「まったく暑苦しい隊長を持ったな。何で僕があんな隊長の援護に回らなきゃいけないんだか…」
やがて、誘導員が閉じた両腕を大きく広げて合図すると、全機がピタリと翼を水平にし、前後に可動した。そして、誘導員の腕が振り下ろされると同時に、全機が一斉に赤い閃光を放ち、急上昇を続けながら出撃した。

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