ゾイドオリジナル (ZOIDS ORIGINAL)

ストーリー

前編『ティスとカイ』登場機体・人物紹介へ

【1】
惑星ゾイドの中央大陸における共和国軍と帝国軍の戦いは、終わることなく未だ続いていた。
そして、その戦いは中央大陸北方の静かなこの小さな村にもおよぼうとしていた――。

「おまたせ。おいしそうなシチューができたぞ」
共和国軍の物資輸送を担う、ゾイドマンモスのパイロット、ヤードが兄妹に呼びかけた。
「うわぁ、いい匂い! いただきまーす! そうだ、おじさん、また地球の話をしてよ!」
キラキラと目を輝かして言うその少女は、数年前に雪深い森の中でヤードに拾われて以来、彼の実の子のように育てられてきたティスである。
ティスの兄カイが続けて言う。
「もう、その話は何度も聞いたろ? 昔、地球の人たちは移住できる星を見つけるために、ゾイック・ノアという宇宙船に乗って、惑星ゾイドにやってきたんだよね、おじさん?」
「そうじゃ、だから惑星ゾイドには、ワシらの故郷でもある地球という星の文明が受け継がれているんじゃよ。ゾイドたちにも地球上にいた生物の遺伝子が組み込まれておるという話じゃ」

ヤードは、たわいもない会話をしながら三人で食卓を囲むこの時間が大好きだった。
「食べ終わったら、フォクシーたちと遊んできてもいいぞ」
「はーい!」
二人は食事をすませると、手早く食器を片付けて、格納庫の方へ駆け出していった。

【2】
「フォクシー! ルクシー!」
ティスとカイの呼びかけを待っていたかのように、二機のキツネ型ゾイド、ミラージュフォックスが頭を上げた。
彼らとゾイドたちは、二人が幼少の頃からずっと共に過ごしてきたためか、気持ちが通じ合っていた。

その様子を窓越しに見ていたヤードは思った。
「まったく不思議な子たちじゃ。まるでゾイドと会話をしているようじゃ。森で眠っていた二人を連れ帰ってきた時は、暗くて冷たい目をして、言葉数も少なかったが、今はあんなに楽しそうな顔をしておる」
ヤードは、我が子を見守る親のように微笑んだ。
こうして、平和な一日がまた終わろうとしていた。

【3】
その頃、北方にはディメトロドンに乗る帝国軍のエースパイロット、バイアン率いる部隊が、降りしきる雪の中で待機していた。
「どうやら、この辺りには敵反応はないようだ。進撃を続けるぞ」
最新型の電子装備を搭載したディメトロドンのレーダーに生命反応がないことを確認したバイアンは、部下たちに指示を出した。

「・・・・・・!? おじさん、フォクシーたちが何かを感じたみたい!」
聴覚の優れたティスも、遠方に広がる森の闇の奥からゾイドの稼動音を感じ取り、素早く敵機の数を予測した。
「あれは・・・帝国軍ゾイド!・・・5機・・・10機! 村の方に進んで来てる!」

「おじさん、私たちにまかせて! 村には侵入させないよ!」
「だめだ! お前たちには戦闘経験などないだろう。しかも10機など・・・勝てるわけが無い」
ヤードが腕を捕まえようとした瞬間、ティスはすばやい動きで
後ろに跳んだ。
「心配しないで、おじさんはここにいて! 絶対よ!」
今まで無邪気だったティスの顔が、にわかに厳しい表情に変わる。
「行こう! 兄さん」「よし!」
二人は格納庫の方へすばやく走り、颯爽とフォクシーたちに乗り込んだ。

ティスが特殊な形のヘッドセットを着けると、フォクシーの聴覚がティスの聴覚とシンクロする。
「まて! ティス、カイ!」
ヤードが家を出て叫んだが、フォクシーたちはすでに格納庫から出ていくところだった。ヤードの声は、吹雪の音に空しくかき消された。
ヤードもゾイドマンモスに乗って後を追おうとしたが、レーダーには彼らの反応が無く、吹雪により視界もさえぎられてしまった。
「ティス、カイ・・・無事に帰ってきておくれ」

【4】
「いくよ、フォクシー、ウイングブレードオン!」
ティスが呼びかけると、フォクシーの背中のブレードが展開する。
「ルクシー、戦闘開始!」
カイも、戦いの決意を込めて呼びかけた。
二人の機体は闇夜の中、薄白い光を帯びて、電光石火のごとく帝国軍部隊に向かっていった。

「こちら先鋒隊1番機! バイアン少佐、敵機2機が突然出現しました。交戦するも1番2番3番すでに中破、戦闘不能! 敵機がそちらに向かっています」
「なに・・・!? こちらのレーダーには何も反応していないぞ!」
「吹雪の中から突然現れました! 敵は貫通力の高いレーザーバルカンと切断系の武器を使用」
「ふーむ・・・こちらバイアン、バスターヘッド隊、12時方向へ最大速力で進攻!」
激しい吹雪の中を縦横無尽に動くフォクシーに向けて、帝国軍のバスターヘッドが猛攻撃を仕掛けた。

「は・・・速い! 弾が当たりません! 時速300km近く出ています」
「バカな! 共和国最速のシールドライガーでさえ250kmだぞ!」
「これは未確認機です!」

「兄さん、聞こえるわ・・・左ナナメ前方!」
「分かった」
ティスが音により敵の位置を知らせ、カイのルクシーがレーザーバルカンで正確に敵を貫いてゆく。
ティスのフォクシーも変幻自在に敵へ近づき、ウイングブレードで確実に切っていく。

危機を感じたバイアンは、さらなる迎撃態勢に入った。
「・・・敵が高速で近づいてきている! こうなったら、私が直々に攻撃を仕掛かけよう」
バイアンは薄く笑みを浮かべた。

【5】
「フフフ、私のレーダーは高性能な全天候型だ。近づいてきてくれたから機影はとらえている」
電子戦を得意とするバイアンのディメトロドンは誘導ミサイル弾を放った。
レーダー上の機影に確実にヒットしたように見えたが、その機影はミサイル着弾点より右に未だに表示されている。
「な、なんだと!? ロックオンしたはずだが・・・!?」
ディメトロドンのミサイル攻撃を回避したフォクシーたちは、互いに高周波の鳴き声であるコンタクトコールによって交信しながら、連携攻撃を仕掛けた。そのため、バイアンの部隊の陣形は一気に崩れていった。
「ぐっ・・・!」

バイアンは左手を口に当てて考え、そして命令した。
「全機撤退! 現在より任務を変更する! 未知のゾイドとの交戦データを持ち帰ることを最優先事項とする」
初めて見るゾイド、フォクシーたちに翻弄されたバイアンの部隊は撤退していった。
「どうやら、もう行ったみたいだね。これで安心だ。」
撤退する敵機を確認すると、兄妹はあどけなさの残る笑顔を見せた。

ヤードは、共和国からの通信で、この地方に帝国軍の中規模の部隊が侵入し、わずか2時間後に撤退したことを知った。
「何と言うことじゃ。あの子たちが帝国軍を追い払ってのけたのか・・・? あの子たちにそんな力があるなんて・・・」

【6】
一夜が明け、猛吹雪もすっかり収まり、いつもと同じ穏やかな朝がやってきた。
「帝国軍を撃退したとは嘘のようじゃ。こんなにも無邪気に遊んでいるあの子たちに、そんな闘争本能が隠されているなんて・・・。
一体あの子たちは何者なのだろう?」
「おじさーん! こっち来て、一緒に遊ぼうよ!」
兄妹に呼びかけられたヤードは素朴な疑問を抱きつつも、あえて考えないようにした。考えるとあの子たちを失ってしまうような気がしたのだ。
「今は、我が子のようなあの二人との暖かな生活を大事にしよう」

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